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ローカルベンチャーオープン戦略会議#7「ゼロから学べる地方創生 × Web3」を開催しました

2023.02.02
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2023年1月30日(月)、ローカルベンチャー(LV)オープン戦略会議の第7回として、「ゼロから学べる地方創生 × Web3〜テクノロジーを活用した新しい自治のあり方を考える〜」をオンライン開催しました。

LVオープン戦略会議とは、全国の地域で活躍する多様なプレイヤー(自治体、起業家、企業など)が学び合い、新しい可能性を引き出し合う勉強会で、原則として月1回開催しています。毎回、LV協議会に参画する地域のプレイヤーが自身の探求したいテーマを選定。そのテーマにふさわしいゲストを招いて実践事例の共有とディスカッションを行います。

1月30日に行われた第7回のテーマは、「ゼロから学べる地方創生 × Web3 〜テクノロジーを活用した新しい自治のあり方を考える〜」。ゲストはWeb3型クラウドファンディングサービス「Open Town」を運営する株式会社奇兵隊 代表取締役の阿部遼介さんです。Open Townを通じた途上国支援や復興支援、まちづくりの仕組みなどについて話を伺い、全国から官民あわせて20名以上が参加しました。

 

■ テーマ発案者、エーゼロ株式会社Chief Research Officer松崎光弘さん(西粟倉村)の知りたいこと

  • 西粟倉村には豊富な自然資本があるが、それ自体(たとえば木材)の価値だけでなく、付加的な価値をつけたい。その価値を可視化する仕組みとしてNFTを活用できないか。
  • 村には高校がなく、子どもたちは中学卒業と同時に村を離れる。その後も村の将来に関心を持ち続けてもらうために(投票権のある)NFTとDAO的な仕組みが生かせるのではないか。

 

■阿部さんのお話のポイント

Web3について

  • Web3とは、ブロックチェーンを用いてつくられたコンテンツやサービスの総称。
  • 最初にビットコイン(デジタル通貨)が盛り上がり、似たような独自コイン発行が激増。売買の需要が発生し、所有者同士の相対取引を可能にする分散型金融(DeFi)系プロジェクトが誕生。その運用管理の仕組みが自律分散型組織DAOとして知られるようになった。
  • 当初は金融系だったDAOが、ソーシャル系と相性がいいのではないかと注目されるように。Web3の技術をリアルの社会貢献系のプロジェクトに使おうという動きが出現している。
  • Web3は、公益性は高いが収益性の低い取り組みを持続的なものにできる可能性がある。ただし、Web3技術はあくまで手段であって、それが目的化してはよくない。

奇兵隊が運営する「Open Town」について

  • 通常の寄付型クラファンは個人のプロジェクトと相性がいいが、単発の支援で終わりがち。NGOなどの活動を持続的に支援するのが難しかった。そこでNFTを導入した。
  • 基本はクラウドファンディング。NFTアートを販売した収益を原資とし、現地住民とトークンホルダーが協力して自律的なまちづくりを行う。
  • 最初はウガンダのカルング村。電気も水道もない2000人の集落で活動するNGOのサポート。サバンナキッズというNFTアートを販売するとJICAなどの団体が購入してくれて、その後もミーティング参加や事業への助言へとつながった。
  • 2つ目がインドネシアのロンボク島。3つ目の埼玉県横瀬町では、日本初のWeb3寺子屋「JOY LAB」を運営。町の小中学生とNFT購入者向けにワークショップ(アートやウォレットをつくるなど)を実施。
  • 地方でOpen Townプロジェクトを進め、地域で立ち上げたプロジェクトに世界から資金を集められるようにしたい。そのためにローカル人材を育成していく。
  • その他のWeb3リアル連動系プロジェクトとしては、日本では元祖といえる山古志村のNishikigoi NFT(デジタルアート作品、電子住民票)がある。いちばん成功していると思われるのはNOT A HOTEL(使いたい分だけ別荘を買い、使わないときはホテルとして貸し出す)。
  • 地方創生とWeb3は相性がいいが、完全に成功したプロジェクトはない。どこも試行錯誤している。

■質疑応答(抜粋)

Q:Web3x地方創生でぶつかる「壁」の典型例は?

A:最大の課題はWeb3ネイティブの人たちと地方住民とのギャップが大きいこと。たとえばDAOのコミュニケーションツールとしてはdiscordが多いが、地域住民がそれを受け入れられない。(Web3を通して)入ってくる人と地元住民がどうやって一緒にやるか、どこもその橋渡しに苦心している。

 

Q:Open Townとしてはそこをどう工夫しているか?

A:Web3を前面に押し出さない方がいい思う。普通のクラファンとして見せて、裏側でブロックチェーンを使えばいい。NFTの購入にはイーサリアムだけでなくクレジットカードも使えるようにしている。

 

Q:普通のクラファンで長期支援を調達するNGOはこれまでもあった。NFTでなければできない点は?

A:これまでの経験上、クラファンでは一度支援したら満足する人が多かった。クラファン=資金調達なのに対して、NFTは「所有=コミュニティへの参加」の概念。NFT所有者だけが入れるチャットルームなどがあれば、持続的なコミュニケーションが可能になる。

 

Q:NFTとして喜ばれるのは何か?アートがいのか、なんらかの権利がいいのか。

A:万人受けするものはないが、途上国支援系・復興支援系ではブロックチェーン上に名前が残る「勲章」のようなものがいいようだ。地域活性系では、観光資産・文化資産を生かしてNFTの権利に乗せるのがいいだろう。現地のお祭りに参加できるなど。とにかくNFT所有者に現地へ来てもらうような設計を。