ローカルベンチャー協議会は、このたび、協議会参画自治体の一つ北海道厚真町における「環境保全林活用による100年後の”ありたい姿”実現に向けたロードマップ」を作成し、厚真町のこれまでの起業家育成の実績と合わせて、「ローカルベンチャー協議会レポート」として公開しました。
この「ロードマップ」は、厚真町内の約280ヘクタール(東京ドーム約60個分)の環境保全林を活用して、100年後に「人と森との豊かで柔らかさのある共生」を実現するという目標からバックキャスティングし、10年後、3~5年後と目標を細分化して現在必要な活動まで落とし込み、ロジックモデルとして整理したものです。厚真町がローカルベンチャー育成等を通じて今後、森林活用を軸とした新たな産業群の創出を目指すなかで、関係者の現在地把握の羅針盤として、またステークホルダー間の共通言語として機能することを企図し、ローカルベンチャー協議会が参画自治体支援の一貫として作成しました。
合わせて、厚真町が100年後の”ありたい姿”を実現させるために必要な人材についても明文化し、今後はこの人材の呼び込みに力を入れていく予定です。
■背景:厚真町のローカルベンチャー育成について
厚真町は2016年よりローカルベンチャー協議会に参画し、町独自の起業家育成プログラムなどを通じて町内にローカルベンチャー(地域資源を活用して起業したり新規事業に挑戦したりする人・団体)を創出する取り組みを続けてきました。町域の7割を森林が占めることもあり、これまでに誕生したローカルベンチャーによって町内の森林を資源として活用する事業が多く創出されています。2018年に発生した北海道胆振東部地震の土砂崩れにより町内の森林の約11%にあたる3,160ヘクタール(東京ドーム約670個分)が崩壊しました。しかし、町は2次災害に備えながら、森林の再生と路網の復旧を進め、地震前から取り組んできた森林の活用に改めて取り組んでいます。実績として、2016年からこれまで新たに10社の森林関連事業者(「森林ローカルベンチャー」と呼びます)が誕生しました。その経済効果は年間5,400万円に上ります。さらに、町内の産業連関や住民の意識変化、交流人口増加などの波及的効果も観察されています。環境保全林の活用にあたっても、林業にとどまらない森林の価値を引き出すことが必要と考えられ、森林ローカルベンチャーが中心的な役割を担うことが期待されています。
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